新潟大学の中島先生は、HALのメカニズムについて促通反復療法を例にして説明しています。『運動機能回復についてのニューロリハビリテーションの必須条件は、装着者が運動意図に基づき、正しく動作を反復し、運動の成功感覚が報酬となり、反復する際に、報酬が予測されることである。複数の脳領域が随意的に活性化することが、メカニズムとして重要である。この条件に対応する徒手的な方法が促通反復療法であり、外骨格ロボットを利用した方法がHALを用いた方法である。』と、理論としてはそうだとは思いますが、実現しようとしている歩行パターンが根本的に異なるので、同じように扱うには無理があるような気がします。しかし、単関節運動に関して言えば比較的近似した印象を持っても良いような気がしています。自主練習として、HAL単関節タイプを使用するのはある程度有益な気がします。ただし、HAL単関節タイプは、促通反復療法の運動パターンと違い回旋系の動きが入らないため、複合的な日常動作につながりやすいかどうかはわかりません。さらには、リハビリ時間内にわざわざ使用することに、疑問を感じます。リハビリ時間内に関節運動をロボットにまかせてただ横で見ているというのは、セラピストでなくても誰でも出来ることだと思います。整形疾患で、TKAの患者さんのCPMをリハビリ時間内に行いますか?リハビリ時間内は徒手的にROMexを行い、CPMはその他のベッドサイドで行うものと認識しています。CPMもロボットも単なる一つのツールであって、セラピストが使いこなそうとする努力が必要だと思います。
HALは、正常歩行のパターンを強引に当てはめている印象が強く、どうしても歩かされている感が拭えません。それは、その他の歩行ロボットのほとんどに共通して言えることです。また、麻痺側下肢のみに着目しすぎて、非麻痺側下肢や体幹との協調性が得られにくい気がします。BWSTTと併用することで、その辺りは解消するのかもしれませんが、だったらBWSTTだけで十分な気がします。その点では、HONDA歩行アシストやACSIVEの方が、非麻痺側下肢との協調性が得られやすいように思います。非麻痺側下肢を重視する促通反復療法の考え方としては、こちらの方が相性が良いのではないかと感じています。
昨日のHAL研究会では、HALの症例報告がいくつかありました。しかし、比較対象となるコントロール群が通常歩行での練習群であり、治療効果としての要因が、HALのロボットによる要因なのかBWSTTによる要因なのかがはっきりとしていませんでした。結果が出ているものと出ていないものの特徴をみると、どうしてもBWSTTの特徴が結果として引きずられていた印象です。なぜ、他のロボットではなくHALなのか?という疑問は解消されずに帰ってきてしまいました。
本日は、京都大学百周年時計台記念館にて、第5回日本脳神経HAL研究会が開催されました。山海先生の壮大なスケールの講演内容に圧倒されてしましました。有言実行とはまさにこのことで、ロボット普及に向けた仕組みつくりに対しての行動力には驚かされてしまいました。この医療業界は、莫大な予算で高価な最先端技術を追い求める割に、そういった技術は最前線である地域には中々普及していかないものです。HALそのもののロボットとしての性能については賛否両論ありますが、HALをきっかけにロボット普及の仕組みつくりが着々と出来上がっていっていることに感激深いものがありました。
本日は、京都市主催の勉強会(ナイトセミナー)にスタッフとして参加してきました。今回も7月に引き続き、京都橘大学の兒玉先生に講演をお願いいたしました。ニューロリハビリテーションの臨床応用を考えるということで、Sharmaの治療戦略を基にしたお話しから、運動イメージなどの臨床応用に関するお話しまで、わかりやく丁寧に解説していただけました。ニューロリハビリテーションの治療戦略としては、運動先行型、運動実行型、感覚フィードバック型のプロセスがあるというもので、特に、運動先行型に関する知見や臨床応用のお話しを聴くことが出来ました。促通反復療法も、まさにこのプロセスを踏んだメカニズムであると言えます。促通反復療法を実施する上で、運動を意図する際に運動イメージなどに関する要素をもっと加えることで、より効果的な介入が行えるのではないかと感じました。
本日は、京都府士会の技術講習会があり、スタッフとして参加しました。肩甲帯と肩関節の機能解剖と触診という内容で、畿央大学の瓜谷先生にお願いしました。基本的な内容がほとんどであり新しい知見というのはありませんでした。しかし、当たり前のことをいかに当たり前にきちんと実施出来ているか、そのことがどれほど大切なことであるのかと、まざまざ実感させられる一日でした。機能解剖の知識と触診の技術があるかないかで、一見同じようなことをしているようでも、治療効果としては全く異なるのだという初心に帰れる日となりました。
いよいよ記念すべき1回目の講習会が、明日開催されます。参加予定の方の期待に応えられるよう精いっぱい頑張ります。遠方の方もおられるので、気をつけてお越しください。
急ですが、11月26日(土)に研究会設立記念特別講習会を開催することになりました。場所は舞鶴赤十字病院で、川平先生に来ていただけます。京都府域の施設に勤務の方は、近々案内が届くと思います。貴重な機会なので、ぜひ申込みをお願い致します。
ご無沙汰気味でしたが、川平法を自分たちでの患者会に行ってきました。久しぶりに行くと、ご本人さん、ご家族さんの変化にいつも驚かされます。昼食の意見交換会では、”病院で麻痺はよくならないからあきらめてください!と言われたことがずっと残っていて、その時の怒りが今の取り組みにつながっている。”とおっしゃっていました。10日の日に、別の場所で別の方がおっしゃってた事と全く同じ事を聴いてしまいました。1週間に2回聴くというのは、世の中かなりの数で起こっていることなのでしょうか。
10月12~14日の3日間、国際福祉機器展に行っていました。介護ロボットの普及には、開発側だけでなく、やはり使う側の意見や評価の仕組みが重要であるようです。欧米に比べ日本はそのあたりが弱いのは昔からよく言われていることです。昨日のHAL研究会のように、開発側・使用側の双方が活発に議論するような場が必要であると改めて感じました。
今回の展示では、新たな機器に出会うということはあまりありませんでした。しかし、数年前から展示されている機器でも、全く変わってないものと改善されているものがあることが確認できました。ロボットなど最新の機器は、登場初期に体験した時の印象で自分自身の評価を決めつけてしまってはいけないなと思いました。その後のバージョンアップの動向を見極めるのも、良い悪いの判断材料にしていく必要がありそうです。
今日は、HALのロボット見学に行ってきました。展示会などで試すよりも、やはり実際に運用して使用している場面を見学させていただくと色々なことが発見できます。HAL自体も当初からはバージョンアップされており、初めの印象とは少し違いました。12月に京都でHAL研究会が開催されるとの情報もいただけました。HAL導入事例の発表や意見交換を行う場だそうです。促通反復療法も、今後普及や発展させていく上で、そういった場が必要になってくるなと感じました。
渋谷にある川平ラボに行き、川平先生にお会いしてきました。研究会設立の報告や今後についてのアドバイスをいただきました。上肢リーチロボットの使用場面などを見学させていただき、多くのことを学ばせていただきました。ロボットは任せるものではなく、あくまでサポートのためにある道具であることを実感しました。川平先生を始め、杉本先生、北澤先生、ありがとうございました。
今日は、ある患者さんのリハビリ体験談の講演を聴く機会がありました。”なぜセラピストによって出来る出来ないがあるのか、なぜセラピストによって効果が違うのか。そんな人達に、もう麻痺はよくならないからあきらめてください、と軽く言われた。このことは一生忘れない!”というような胸に刺さるようなお話しでした。
数年前から交流する機会をいただいているシャルコー・マリー・トゥース病(CMT)の患者会に参加してきました。皆様とは約1年ぶりの再会でしたが、多くのパワーをいただきました。インターネットが普及し情報があふれている時代になりましたが、まだまだ必要な情報が必要な方々に十分に届かない世の中なのだなあと実感したりしました。中川先生からは、京都北部域の状況など貴重なお話しを聞かせていただくことが出来ました。
本日、京都大学運動機能セミナーに行ってきました。脳卒中の理学療法に関するエビデンスと歩行トレーニングについて、とてもわかりやすい内容でした。”新しいことにチャレンジはしても良いが、エビデンスで推奨されていることは最低限やらないといけない。”という、市橋先生の言葉がとても印象に残りました。立位や歩行に関して、非麻痺側下肢を軸とした動作獲得を方針とするなど促通反復療法に共通する内容が多くありました。